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「構造設計」だけでいい家が出来るか?
構造・・・丈夫にこした事はありません。
基準法は最低限のスペックであって、「人のものは盗まない」ぐらい当たり前のことです。
その当たり前が出来なくて、人の人生を狂わせようとしている。

この御時世、お施主さんから構造の事でよく念を押されます。



お施主様:「大丈夫ですよね?」

私:「ええ、大丈夫ですよ。基準法の1.2倍がウチの事務所の基準です。が、周りが全倒壊しているなかで、ここだけ残るようなスペックにはしていません」

お施主様:「(興味半分で)そのくらいやろうと思うと、免震構造とかになるんですか?」

私: 「いや、免震でも想定以上の応力が掛かれば変形しますし、直下型の縦揺れには無力です」

お施主様:「・・・・・・・・どうすれば・・・・・・(焦り気味)」

私:「全く窓のない壁厚30センチぐらいのRCを、2〜30Mぐらい掘って埋めれば大丈夫かもしれませんね。(笑)」

お施主様:「それって家なんですか?(半笑)」

私:「家じゃないですね(苦笑)」


そう、廻りがどうなろうと自分だけ生き残りたければ、この程度は必要。
ただ、生き残ってもあとが大変だけど。
現実的な技術とコストで、想定されている程度の地震に対して、
少なくとも命と財産がすべてなくならないようにする事は可能。
ただ、無傷は無理ですね。
要は、建物に何を求めるかが重要。

そしてそのスペックは、考える以上にコストが掛かる。
ローコストメーカーが「坪25万円!!」とか言っている中での考えではありません。
(ローコストメーカ−が構造が不安と言っている訳ではないですよ)
当然坪2桁台ではないと言う事ですね。
更に、日常を暮らせる家には到底なり得ないです。

基準法がすべてではないとも言える、
ケンチクのプロを唸らせるマンションが高知にあります。

構造設計なんてクソくらえ!のRC造マンション@沢マン

建築士でもない夫婦が、自分の力だけで100戸の賃貸マンションを作ろうとしている。
RC構造なので、ある程度の知識は必要なので、自力で勉強されたとの事。
あとはやりながら、得てきた勘や自然現象の観察などで構築している。

更に、その言いようのないカオス的な魅力に呼び寄せられて、
また面白い住人が「住むこと」を楽しんでいる。
そう、いつ起こるか分からない天変地異への備えよりも、
日常の住まいが優先していると言う事。

オーナーは決して安全をないがしろにしている訳ではないが、
家になにが大切か、オーナーである自分たちがどう生きたいか。
その事を一番に考えてこのマンションを建てて、
それに意気投合する住人が集まっている。

集合して住まうと言う事は、実はこういう事なんじゃないかと思うのでし。
by kametatu | 2006-03-20 00:38 | けんちく
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住宅設計者の端くれが、日々あれこれあることを、思ったままに書き連ねまし。

by kametatu
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